PITは名古屋大学大学院教育発達科学研究科の内田良准教授らと協働し、いじめを取り巻く関係者同士の認識のズレに着目した調査研究、「ボタンのかけ直し」プロジェクトを行っています。今回、本調査分析の基本的な集計・分析結果(速報値)について、文部科学省記者クラブにて内田良准教授に発表いただきましたので、ご報告いたします。
【発表内容】
・いじめ事案への介入(加害者の出席停止等)に関する実績及び関係者間の意識
・いじめをめぐる三者のズレ(いじめの判断/いじめの責任所在について)
【資料】
本発表に関する資料については、以下をご参照ください。
記者会見発表資料:こちら
今回の発表では、「加害者の出席停止措置」について、半数近くもの教員が『出席停止を求めている』ことが明らかになる一方で、中学校におけるいじめ加害者の出席停止は毎年1件程度(※文部科学省統計による)であり、現場での意識に関わらず、実行されづらい現状が示されました。また、ともすれば「学校が警察の介入を望んでいない」というステレオタイプな語られ方に反し、7割を超える教員がいじめ問題に関する警察との連携を望んでいることが明らかになりました。
また、いじめの判断については、「子ども一人の話だけでは判断が難しい」という認識について保護者と教員で大きな開きが見られ、いじめ調査の進展スピードについて「なかなか調査が進まない」という対立の要因となりうる要素を生んでいる可能性が示されました。また、いじめの責任所在についても、保護者と教員の間で大きな差異がみられることが共有されました。
PITでは本調査の結果をもとに、政策提言等をはじめとしたいじめの構造変革に向けたアプローチを検討・実行していくと同時に、今回の結果を受けての追加調査・分析を進め、いじめの問題に潜む構造を明らかにしていきます。
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▼調査の概要
2021年8月13日~17日にウェブ調査形式で実施。対象は、①小学校の教員、②小学校の保護者、③中学校の教員、④中学校の保護者、⑤中学校の生徒、サンプルサイズは①~⑤それぞれ約400名(合計で約2000名)。
▼関連記事(2021年10月4日公開)
内田良氏「いじめ加害者の出席停止ゼロ件 教員の半数『出席停止にすべき』」
https://news.yahoo.co.jp/byline/ryouchida/20211004-00261421
※調査結果の一部を参照した記事です。公開同日にヤフーの「主要」ニュースに掲載されました。
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